
北京旅行を計画している方の中には、「中国はスマホ決済が主流と聞いているけど、クレジットカードだけ持っていれば大丈夫だろう」と思っている人も多いかもしれません。タッチ決済が定着してから、日本国内でも現金よりもカード払いをメインにしている人も増えているため、そう考えるのが自然です。
しかし、中国・北京の支払い事情は世界的に見ても少し特殊で、クレジットカードを使えない店舗やサービスもたくさんあります。そこで、この記事では、北京でクレジットカードが「どこで使えるのか」「使えない場面はどんなときか」、さらに「代わりになる支払い方法」について詳しくご紹介していきます。
クレジットカードは北京で使えるのか?

結論からお伝えすると、北京ではクレジットカードは「一部では使えるが、どこでも使えるわけではない」というのが実情です。
外国人旅行者が利用するような高級ホテルや空港、外資系レストラン、大型ショッピングモールでは、「Visa・Mastercard」であれば主要ブランドであれば問題なく使えます。一方で「JCB・アメックス、ダイナース」は、そのような施設でも使えないケースが多々あります。
さらに地元の人々が日常的に利用するローカルの飲食店や個人商店、市場では、「Visa・Mastercard」であってもクレジットカードが使えないことが多く、支払いを断られるケースも珍しくありません。こうした場所では、QRコード決済(AlipayやWeChat Pay)が主流となっています。
ちなみに中国人が使っているのは「銀聯カード(UnionPay)」と呼ばれるクレジットカード(デビットカード)であれば幅広く利用できます。ただし、日本で発行された「銀聯カード(UnionPay)」は使用不可となることが多いので、実質的に中国人向けの決済方法だと考えてください。
以上のことにより、北京では「使える場所はあるが、過信は禁物」というのが基本的な考え方になります。クレジットカードだけに頼るのではなく、あらかじめ現金や他の決済手段も準備しておきましょう。
北京でクレジットカードが使える主な場所

北京では、場所によってはクレジットカードを問題なく使えるとお伝えしましたが、ここではもう少し具体的に、どこであれば利用できる可能性があるのかをご紹介していきます。
- 外資系・高級ホテル
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ヒルトンやマリオット、シャングリ・ラなどの国際的なホテルチェーンでは、Visa、Mastercard、JCBなどほとんどのカードが利用可能です。宿泊費の支払いやデポジットの確保でもカードは必須となることが多く、安心して利用できます。
- 高級レストランや観光地のレストラン
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外国人観光客がよく訪れるようなレストランやホテル内のダイニングでは、クレジットカードの利用に対応しています。とくに国際的な観光地周辺の大きなお店では利用できるようになっています。
- 空港
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北京首都国際空港や大興国際空港内のショップや飲食店では、外国人の利用者が多いこともあり、クレジットカードを使えるお店がいくつもあります。
- デパートや大型ショッピングモール
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王府井、三里屯、SKP、国貿(China World)などの大型ショッピング施設では、クレジットカード決済に対応しています。とくにブランドショップや百貨店ではスムーズに支払えるため、安心して買い物が楽しめます。
- 一部の配車アプリや交通系サービス
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配車アプリ「DiDi(滴滴出行)」では、国際クレジットカードの登録が可能です。アプリを使えば、タクシー利用も現金不要でスムーズに支払いができます(※事前にカード登録が必要)。
一見するとさまざまなシーンでクレジットカードを使用できそうに感じますが、実際に観光してみるとクレジットカード払いができなくて困ることが多々あります。次のセクションでは、どのようなケースでクレジットカードを使用できないのか解説していきます。
北京でクレジットカードが使えない・使いにくいケース

北京では特定の場所ではクレジットカードが使えますが、「どこでも使えるわけではない」のが現実です。とくにローカル感の強い場所や日常的な支払いでは、クレジットカード不可となっていることも珍しくありません。どのようなケースで利用できないのか見ていきましょう。
- 個人経営の飲食店
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地元の人に人気の小さな麺屋、食堂では現金またはQRコード決済のみ対応の店が多く、クレジットカードはほぼ使えません。ローカルグルメを楽しみたい人は注意が必要です。
- タクシーやバスなどの公共交通機関
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北京の一般的なタクシーでは配車アプリ内決済が主流で、クレジットカードには対応していないケースがほとんどです。ただし、地下鉄だけはクレジットカードのタッチ決済に対応しています。
- 市場やローカルショッピングストリート
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骨董品市場や南鑼鼓巷などのローカルなショッピングストリートなどでは、現金またはWeChat Pay・Alipayしか受け付けないというケースがほとんどです。
- 通信環境が不安定な場所
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地下や郊外、屋外施設など、インターネット接続が不安定な場所ではカード端末が動作しないこともあります。通信トラブルにより決済ができず、現金での支払いを求められることもあるため注意が必要です。
- 一部のネット予約・アプリ決済
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現地のアプリやオンライン予約サイトでは、中国発行のカードや中国口座に紐付いた決済手段しか対応していないケースもあります。日本発行のクレジットカードでは登録自体ができないこともあるため、事前確認が必須です。
このように、クレジットカードが使えない場面は意外と多いため、できるだけQRコード決済できるようにしておきましょう。QRコード決済については次のセクションで解説します。

北京はQRコード決済が主流

北京では、クレジットカード以上に圧倒的に普及しているのがQRコード決済です。中国全土で使われている2大サービス「Alipay(アリペイ/支付宝)」と「WeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信支付)」は、コンビニ・レストラン・交通機関から個人商店にいたるまで、ほとんどの場所で使える「スタンダードな支払い方法」になっています。
なぜQRコード決済が普及しているのか?
QRコード決済が普及している理由は次の4点にあります。
- スマホひとつで支払いが完結できる
- 偽札リスクがないため店舗側も安心できる
- お釣りが発生せずスピーディーでレジ待ちが少ない
- 一部の店舗ではQR決済しか受け付けておらず必然的にQRコード決済が定着
現地の人にとっては、現金やカードよりも「スマホ決済のほうが早くて安心」という認識になっています。
外国人旅行者でもQRコード決済が使える?
以前はQRコード決済するのに中国の銀行口座が必要でしたが、今はクレジットカードを紐づけできるようになっているので、外国人旅行者でもAlipayやWeChat Payを使ったQRコード決済が主流になっています。
使い方に関しては別記事がありますので、そちらをご参照ください。


北京でクレジットカードを利用するときの注意点

北京でクレジットカードを利用する際には、いくつかの注意点があります。日本と同じ感覚で使ってしまうと、思わぬトラブルや損をしてしまうことも。以下のポイントを押さえておきましょう。
- スキミングやコピー被害に注意する
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中国ではクレジットカードの読み取り時に、スキミング(カード情報の不正取得)される可能性があります。小規模店舗や信頼できそうにないお店では、クレジットカードを相手に渡すことなく処理してもらいましょう。
- 海外利用手数料とレートをチェック
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クレジットカードによっては、海外利用時に為替レートに加えて「海外事務手数料」が別途かかる場合があります。料金ははカード会社によって異なりますが、一般的には2%前後の手数料が発生します。高額な買い物をするときには、手数料も高くなりますので、事前に自分のカードの手数料を確認しておくことをおすすめします。
- 暗証番号や署名を求められるケースがある
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店舗によってはクレジットカード利用時にPINコード(暗証番号)やパスポートの提示を求められることがあります。サインだけで済む場合もありますが、サイン・PIN・身分証明のいずれかが必要になる可能性があることを頭に入れておきましょう。
- クレジットカード会社に止められる
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中国でクレジットカードを使用した場合、不正利用を防ぐためにクレジットカード会社が利用を停止することがあります。この場合、クレジットカード会社に問い合わせをして解除してもらう必要があります。解除には少し時間がかかりますので、クレジットカード払いを考えているなら、複数のクレジットカードを用意しておきましょう。
クレジットカードを紛失したときの対処方法
北京でクレジットカードを紛失したら、まずカード会社に連絡して利用停止を依頼しましょう。VisaやMastercard、JCBは海外対応の窓口があります。不正利用を防ぐためにも早急な対応が重要です。
海外旅行保険の申請で「紛失証明書」が必要な場合は現地警察で取得し、帰国後すぐに再発行の手続きを行ってください。カードが使えない間は、他のクレジットカードやQRコード決済、現金などで代替しましょう。事前にクレジットカード会社の緊急連絡先を控えておくと安心です。
クレジットカードではなくQRコード決済をメインにしよう
北京では、クレジットカードが使える場面もありますが、常に使えないことを想定しておく必要があります。そのために現金を用意したり、複数枚のクレジットカードを用意したりするくらいなら、最初からQRコード決済をメインに使えるようにしておきましょう。
飲食店の多くがスマホ注文・スマホ決済になっているため、QRコード決済を使えるようにしておかないと、行動にさまざまな制限がかかってしまいます。今は外国人旅行者でもAlipayやWeChat Payを使えるようになっており、さらにAlipayなら自転車を借りたり、タクシーを配車したりできます。
どうしてもクレジットカードをメインにしたいのであれば、入店時にクレジットカードに対応しているか確認しておきましょう。ただ、そのときOKと言われても、いざ決済しようとするとNGとなることもあります。クレジットカード払いをメインにするのであれば、万が一に備えて現金も必ず用意しておいてください。