北京に観光する人が減っている最大の理由がPM2.5による大気汚染です。テレビニュースなどで、何度も北京の大気汚染情報を流し続けた結果、北京の空気は汚いという印象がついてしまいました。実際に冬場になると1km先も見えなくなることがあります。
そうなってくると、北京への旅行なども不安が大きくなって「やっぱりやめよう」となる人もいるかと思います。ただ、PM2.5について正しい知識と北京の現状を知っていれば、それほど心配することでもありません。そこで、ここでは北京のPM2.5事情について詳しく説明していきます。
PM2.5とは
すでにPM2.5について把握している人もいるかもしれませんが、まずはPM2.5がどのようなものなのかについて説明をしておきます。
PM2.5の正式名称は「微小粒子状物質」で、大気中に浮遊している2.5μm以下の小さな粒子のことを示します。髪の毛の太さの1/30程度の小さな粒だと思ってください。これくらい小さくなると、呼吸をするときに肺の奥深くまで入ってしまい、肺の機能に対して悪さをします。肺の疾患を引き起こすこともありますし、肺がんのリスクも上がります。
PM2.5の発生源はいくつもありますが、次のようなものが主な原因とされています。
- 工場や車などので燃料の燃焼
- 調理、ストーブ
- 喫煙
- 溶剤や塗料
- ボイラーや焼却炉
中国が発展する上で多くの工場が建てられました。そして豊かになったことで自動車を所有する人も増えています。ただ、電力が不足している状態にあり、調理やストーブなどは今でも石炭を使っているという背景もあり、PM2.5の排出量が加速度的に増えてしまい、大きな問題になっています。
ただ、北京冬季五輪の開催にむけて、中国政府は全力で大気汚染問題に取り組んでいます。
2017年からは石炭を天然ガスに強制的に置き換える措置をとりましたので、2018年の冬からは北京市内で青空が見える日が続きました。これによって、中国で暮らす人たちの多くが石炭を使えなくなり、冬の寒さに悩まされるなど不便さを感じることになってしまいましたが、観光客にしてみると、青空が見えることに拍子抜けしてしますかもしれません。
北京の現状
北京に限れば、かつての大気汚染状態から大幅に改善されていますが、まだまだ空気がきれいとは言えません。PM2.5が気になるという人は12月から4月前半までの旅行はあまりおすすめできません。
4月になると西からの風が強くなり、PM2.5などの有害物質は風で飛ばされてしまいます。飛ばされたものがどこに行くのかは、ここでは深く考えないようにしますが、北京の空気がきれいになることだけ覚えておきましょう。
また、雨の翌日も空気が澄んで青空が続きます。
雨が降ったり、風が強かったりした翌日は最高の観光日和になりやすい傾向にあります。景山公園や頤和園などの、景色がいい場所を観光するチャンスです。旅の前には天気予報も確認してスケジュールを組むようにしましょう。
反対に風も吹かず、雨も降らない日が続くと、いくら中国政府が対策にやっきになっても、空気はどんどん汚れてしまいます。心配な人はPM2.5対応マスクを購入しておきましょう。
PM2.5のイメージをうまく出来ないという人は、会社などの喫煙室を思い浮かべてください。タバコを吸わない人には耐えられない空気ですし、明らかに体に悪そうですよね。PM2.5がひどいときはまさに、あの状態にあります。
ただ、旅で2〜3日の滞在するくらいなら、それほど神経質になる必要もないという考え方もあります。これは個人それぞれの感覚の問題ですので、状況に応じて対策の必要性を判断してください。
ちなみに、下記に表示されているのがリアルタイムの大気汚染状態です。空気の汚れが気になる人は、旅行前から常に確認しておいてください。