北京にはいくつもの世界遺産がありますが、その中でも日本人観光客に人気のスポットのひとつが天壇公園です。天壇公園は、歴代の皇帝が天に五穀豊穣を祈念した場所であり、中国の歴史の中でも特に重要な場所になります。
ここではそんな天壇公園の見どころや楽しみ方、アクセス方法などをご紹介していきます。
天壇公園の歴史
天壇公園が作られたのは1420年の明代で、当時は天地壇と呼ばれていました。1530年に四郊分祀制度が制定されたことで、地壇は1534年に北京の北側に移され、現在の天壇の形になりました。
この四郊分祀制度によって建設されたのは、地壇だけではありません。観光地としてはあまりスポットライトが当たりませんが、北京っ子の憩いの場となっている日壇、月壇もこのときに作られています。
日本でいえば室町時代に作られた建築物や庭園が、現在も残っているわけです。それだけでも十分に魅力的ですが、この天壇は天を祀るための場所でもあり、とても神聖なエリアでもあります。
皇帝が天に対して五穀豊穣を祈り、そして毎年の収穫の報告を行います。干ばつで雨が少ないようなときには、ここで雨乞いを行っていました。中国においては「天」は絶対的な存在であり、皇帝は天が選んだ統治者という立場にあります。
中国では皇帝のことを天子と呼びますが、皇帝は天命を受けて当地をしているのであって、私利私欲で支配をしているわけではありません。もし皇帝が徳を失えば、新しく天命を受けた子が取って代わるとされています。
皇帝よりも、さらに上の立場にある天。その天の声を聞くことができる場所。天と繋がれる場所が天壇公園というわけです。もちろん天壇公園のすべてが天と繋がるわけではありませんが、公園全体がパワースポットになっています。
このため、開園から閉園までずっと、地元の人たちがくつろぎの場所として活用しています。
天壇公園の見どころと楽しみ方
天壇公園での見どころは5つあります。
- 圜丘壇(圓丘壇)
- 皇穹宇と回音壁
- 祈年殿
- 七十二長廊
- 九龙柏
それぞれの見どころや楽しみ方を見ていきましょう。
圜丘壇(圓丘壇)
皇帝が天に対して祭祀を行った場所が圜丘壇(圓丘壇)です。そういう意味で、圜丘壇(圓丘壇)が天壇公園の中で最も重要な場所ということになります。
圜丘壇(圓丘壇)の中心には人が1人立つことができる「天心石」があります。ここで皇帝が天と繋がった場所ですので、人気の写真スポットになっています。中々順番がまわってこないので、待つのではなく多少強引にいきましょう。
この天心石で発した言葉は、こだまのように自分に戻ってきます。あまりたくさん人がいると反響しないので、体験したいなら火とがまだ少ない早朝がおすすめです。
皇穹宇と回音壁
皇穹宇は歴代の皇帝の位牌を安置しておく場所です。圜丘壇(圓丘壇)と祈年殿の間に位置し、天に属する建物ということで円形になっています。この皇穹宇の美しさに見とれていると見逃してしまうのが回音壁です。
回音壁は皇穹宇の周りにある壁のことで、この壁に向かって発した言葉が、180°反対側まで届く構造になっています。できれば2人以上で訪れて、本当に音が回るのか、ぜひ試してみてください。
祈年殿
北京を代表する建物といえば紫禁城ですが、それと対をなす建物が天壇公園の祈年殿です。最初に建てられた建物は、落雷により1889年に焼失しています。ただ現在の祈年殿も美しく、北京のシンボルとして愛され続けています。
1889年の中国は清王朝の時代ですが、諸外国によって蝕まれていった時代でもあり、この12年後に中国の王朝時代が終わりを遂げることになります。そう考えると、祈年殿の焼失は時代の終わりを示していたのかもしれません。
この祈年殿では、正月に皇帝が五穀豊穣を祈る場所になります。中国最大の祭壇であり、圜丘壇(圓丘壇)と同様にとても重要な場所とされています。
七十二長廊
七十二長廊は天壇公園の東側から連なる屋根のある廊下です。その美しさもさることながら、ここでの見どころは屋根の下で思い思いに過ごしている北京っ子たちの姿です。
カードゲームや将棋などを楽しむ人たちもいれば、お茶をしている人もいます。ここは北京っ子の憩いの場であり、北京に来たということを強く感じられる場所でもあります。
北京の人たちがどう過ごしているか眺めながら、ゆっくりと散策しましょう。
九龙柏
日本のガイドブックなどでもほとんど紹介されていませんが、ぜひ訪れてほしいのが九龙柏です。九つの龍が絡みながら天に上っているかのような柏で、天壇公園の中でも力の強いパワースポットになります。
柏に手をかざすと、九龙柏から溢れ出ているパワーを感じることができます。九龙柏だけでなく、周辺の木からも同じようにパワーを感じることができますので、ただの木だと思わずに手をかざしたり触れたりしてみましょう。
天壇公園へのアクセス
北京地下鉄5号線:天壇東門駅
天壇公園へのアクセス方法はいくつかありますが、最もアクセスしやすいのが天壇東門駅です。駅出口に公園の入口がありますので迷うこともなく、歩く距離も短くて済みます。
ただし、地下鉄5号線に行くのが面倒ですので、前門観光を組み合わせるという方法もあります。前門大街を南下していけば、天壇公園の西二門にたどり着きます。約2.5kmですので徒歩30分といったところです。
午前中に天壇東門駅から天壇公園を散策し、そのあと前門に抜けてランチにするというのがおすすめの観光ルートになります。
開園時間(公園):6:00~21:00(11月~3月:6:00~20:00)
開門時間(建物)8:00~17:00
公園入場料:15元(11~3月:10元)
共通券:35元(11~3月 30元)