せっかく中国に行ったなら、北京だけでなく他の街も見てみたいですよね。でも、中国は広大すぎてどこに行くにしても飛行機か寝台列車を使う必要があります。そんな中国において北京から日帰りで行ける魅力的な街があります。
それが北京から約130km離れた場所にある港町・天津です。天津は北京条約により開港したことで北京よりも先に近代化が進んだ街で、日本をはじめとした列強諸国が租界を設置したという歴史があります。
ここでは北京から天津へのアクセスや、天津での見どころなどをご紹介していきます。
天津の歴史
天津の地ができたのは今から4000年前で、運河の合流地点として重要な役割を果たしてきました。ただし、歴史的に注目されるのはもっと後のことで、1652年に軍事拠点としての役割が始まり、歴史の渦に飲み込まれていきます。
清王朝の重要な軍事拠点だったこともあり、第2次アヘン戦争でイギリスとフランスに占拠されてしまいます。その後、開港を迫られて、イギリス、フランス、アメリカ、ドイツ、オーストリア、ベルギー、イタリア、ロシア、日本が租界(外国人居留地)を設置しました。
これにより、天津は中国にありながらも、外国の雰囲気を醸し出す街へと成長していきます。現在でも洋風の建物が多く残り、どことなく神戸や横浜といった港町特有の異国情緒を感じることができます。
清王朝末期に紫禁城を追われたラストエンペラー溥儀が向かった先が、天津の日本租界でした。ここで皇帝に復帰することを願いながら生活を送り、そして日本の提案する満州国の皇帝になるべく、天津を抜けて満州へと向かったという歴史があります。
このとき、ラストエンペラー溥儀が暮らした家が、観光スポットのひとつとして現在でも天津に残っています。
天津は中国の中でも未だに成長を続けている街のひとつです。経済成長率は中国の中でもトップクラスで、港周辺の工業地帯やコンテナターミナルなどの開発が行われており、古い歴史を残しながらも常に変化し続ける、現代の中国を象徴する街として、世界中から注目されています。
北京から天津へのアクセス方法
北京から天津へ向かうときには高速鉄道を利用します。出発駅は北京南駅で、到着は天津駅です。時間はなんとたったの40分ですので、ホテルから北京南駅で電車に乗り込むまでの時間のほうが長いかもしれません。
初めて電車のチケットを購入する人は戸惑うかもしれませんが、「售票处」の列に並んで「天津・列車番号・出発時間・等級」を紙に書いて、パスポートと一緒に出せば伝わります。下記リンク先が参考になるかと思います。
https://c-study.net/china/beijing-south-station/
等級は1級でも2級でもそれほど金額は変わりませんので、1級にしておけばOKです。1級でも片道1,000円程度です。130kmを新幹線で移動して1,000円というのはかなり安いですよね。電車の本数もかなり多いので安心してください。
窓口の人はやや不親切ですが、粘ればなんとかしてくれます。以前は「ないよ」「無理」みたいに冷たく対応されましたが、お願いすれば臨機応変に対応してくれます(人によりますが)。
ちなみに、Trip.comを使って事前にチケットを確保しておくという方法もあります。Trip.comでチケットを購入すると、引換証(引換番号)が発行されますので、それを窓口でパスポートと一緒に出すだけで発券してもらえます。
数百円割高ですが、中国語が不安だという人は事前予約がおすすめです。
自分で窓口で買ってみたいけど、言葉が通じるか不安という人は、TripFeverで借りることができる翻訳機「ポケトーク」がおすすめです。チケットの購入以外でも役立ちますので、言葉が心配な人は出発前に借りておきましょう。
下記バナーをクリックすると、TripFeverのレンタルサイトにアクセスできます。
天津で訪れたい観光スポット
天津は観光スポットがいくつもある街ですが、日帰りで行くとなるとある程度観光スポットを絞っておく必要があります。ここでは、絞り込みをするために天津で訪れておきたいスポットについてご紹介していきます。
- 静園(静园)
- 五大道
- 古文化街
- 天津恒隆広場(天津恒隆广场)
- 天津の夜景
これくらいを抑えておけば、初めての天津なら十分に楽しめるかと思います。それぞれの場所や見どころについて見ていきましょう。
静園(静园)
静園は紫禁城を追われたラストエンペラーの溥儀と妻の婉容が、1929~1931年まで天津に避難し日本に保護されていたときの住まいです。中国の近代史が好きだという人にとっては、とても思い入れが湧いていくる場所のひとつになるはずです。
歴史に詳しくない人でも、美しい洋館の中に入れるというだけでも価値がありますし、おそらく風水的にもいい場所にあるのでしょう。とても穏やかな空気感があり、いつまでもくつろいでいたい気持ちでいられる場所です。
住所:天津市鞍山道70号
入場料:20元
五大道
五大道はかつてイギリスの租界だったエリアで、200棟以上も当時の建物が残っています。イギリスだけでなく、フランス、イタリア、ドイツ、スペインなどの歴史建築があり、まるで建物の博物館のようで画になる景色が続きます。
このエリアの魅力はなんといっても、閑静であるという点です。活気のある天津ですが、著名人が暮らした場所であり、天津の金融における中心地でもありますので、静かでのんびりと散策を楽しめます。
古文化街
にぎやかで活気のある天津を体感したいなら、古文化街がおすすめです。清王朝時代にレンガと木で建てられた建物と古書、骨董品、伝統工芸品などのショッピングを楽しめる観光スポットです。
ここに街ができてから800年以上も経過しており、近くには天津で最も古い建物である天津民族博物館(無料)など、活気とともに歴史を感じられるエリアになっています。小さな路地をあてもなく歩くと、タイムスリップしたかのような感覚になれます。
天津恒隆広場(天津恒隆广场)
天津に限らずですが、中国の街を見るときには、地元の人たちが集まる最新スポットにも足を運びましょう。天津に行くと歴史ばかり気になりますが、中国で最も勢いのある街です。その勢いを感じるために最大のショッピングモール「天津恒隆広場」も訪れてください。
天津らしさを感じないかもしれませんが、これこそが現在の天津です。もちろん、洗練されたアイテムも揃いますので、オシャレなお土産を探している人にもおすすめなスポットです。
住所:中国天津和平区兴安路166号
天津の夜景
天津は夜景が美しい街です。これがあるので、本当は日帰りではなく1泊してもらいたいところですが、22時台でもまだ北京に戻る電車はあります。天津で夕ごはんまで楽しんで、夜景を見て帰るのがおすすめです。
- 天津海河文化広場
- 開閉橋
- 天津之眼
- 解放北路
- 津湾広場
有名な夜景スポットだけでもこれだけあります。ひそかにライトアップされている洋館などもあり、街全体が大きなアートのような美しさが天津にはあります。これを見ずに帰るのはもったいない。
21時台の電車を予約しておいて、しっかり夜景を楽しんでから戻るようにしましょう。
天津で食べておきたいグルメ情報
天津といえば天津甘栗と天津飯を思い浮かべるかもしれませんが、残念ながらどちらも天津にはなく、日本でしか食べることができません。でも、天津には美味しいグルメがいくつもあります。
- 狗不理包子
- 麻花
- 耳朶眼
この3つは必ず抑えておきましょう。
狗不理包子は北京にも支店のある有名店(日本にもある)ですが、天津には偽物の狗不理包子を売るお店がいくつもあります。皮に18のヒダがある肉まんだけが狗不理包子ですので気をつけてください。
このあたりのお店を選んでおけば間違いありません。お店ごとに味が少しずつ違いますので、評価の高いお店を選びましょう。
麻花はかりんとうのようなもので、こちらは街のあちこちで売られています。油で揚げていますが、日持ちしますので北京に持ち帰って、朝ごはんやおやつに食べるのもおすすめです。
耳朶眼は名前からは想像できないかもしれませんが、揚げ饅頭の一種です。こちらは揚げたてが一番美味しいので、持ち帰らずにその場でいただきましょう。
ちなみに天津は日本の租界もあったことから、現在でも日本料理屋がたくさんあります。そして、地元の人たちに人気があるのも日本料理屋です。中国まで行って日本料理を食べるのも味気ないかもしれませんが、タイミングがあればぜひ食べてみてください。
自分で探すのが難しい場合には、大众点评网のサイトを使って地元で人気のお店を事前に検索しておきましょう。
大众点评网・天津美食:https://www.dianping.com/tianjin/ch10
まとめ
北京に数日滞在するなら、ぜひ訪れてもらいたい場所が天津です。北京よりも自由な雰囲気があり、それでいて街全体が洗練されています。中国の中でも今でも勢いが残る街で、活気を感じつつも歴史も楽しむことができます。
北京と違う顔をした中国の一面を体感することで、中国に対する視野も広がるはずです。最短で30分あれば天津まで行けてしまいますので、中国の高速鉄道を楽しむのも含めて、ぜひ天津のワンデートリップを楽しんでください。