円明園(圆明园)は清王朝時代に作られた離宮のひとつで、第二次アヘン戦争(アロー戦争)の際にフランス・イギリス連合軍によって、徹底的に破壊されたという歴史をもつ観光スポットのひとつです。
頤和園や天壇公園のような世界遺産ではないため、観光スポットとしての人気はそれほど高くありませんが、円明園には他の観光スポットにはない美しさが詰まっています。
中国が好きだという人には、ぜひ訪れてもらいたい場所のひとつですので、どのような魅力があるのかについて詳しくご紹介していきます。
円明園(圆明园)の歴史
円明園は清王朝時代に作られた離宮で、そもそもは雍正帝が皇子だった時代に皇帝から贈られた庭園で、雍正帝が即位してから増築が進められました。それが1720年代のことですので、300年近い歴史があります。
第6代皇帝乾隆帝の時代になると、西洋風の建物や噴水などが建てられ、北京でも類を見ないほどの美しい庭園になりました。
そんな円明園に悲劇が訪れたのが、第二次アヘン戦争(アロー戦争)で、戦利品としてフランス軍が円明園にある美術品をすべて持ち去り、清との交渉のための使節団を殺害・拷問されたイギリス軍によって徹底した破壊を受けました。これが1856年の出来事です。
持ち去られたものは、現在でも世界中の博物館で展示されており、その中の一部が中国に戻されています。
西太后によって修復された頤和園とは違い、円明園はそのまま荒廃した状態が続きます。長きにわたる放置期間があり、1984年になってようやく遺跡公園として修復・保全が開始され、現在の形に至っています。
円明園(圆明园)の見どころ
円明園で見るべきものとしては、下記のスポットがあります。
- 西洋楼景区
- 円明園展覧館
- 万花阵迷宫
最大の見どころは、破壊された遺跡が残る西洋楼景区です。円明園を代表するスポットですので、入口からは遠い場所にありますが必ず訪れておきましょう。円明園展覧館や万花阵迷宫もできるだけ行っておきたいスポットです。
ただし、本当に見てもらいたいのは、庭園としての圓明園です。建物は残っていませんが、計算しつくされた庭園の風景は、どこを切り取っても画になります。この世のものとは思えない風景がそこにあり、感動すら覚えます。
円明園全体が大きな芸術作品であり、これを見るためだけに北京に行く価値のある、北京で最も美しい空間がそこにはあります。
芸術作品ですので、すべての人が感動できるかどうかは分かりません。でも第2次アヘン戦争の舞台となった場所であり、文化を破壊された中国人にとってはとても特別な場所でもあります。
そんな歴史を感じながら、美しい庭園を散策する。とても贅沢な時間の使い方ではないでしょうか。観光客の多い世界遺産に疲れたら、円明園の庭園で爽やかな風に吹かれながら、のんびりと歩いてみてください。
円明園(圆明园)の風景
円明園(圆明园)の基本情報
住所 | 北京市海淀区清華西路28号 |
開園時間 | 5月〜8月:7:00-21:00 4月/9月/10月:7:00~20:30 11月~3月:7:00~19:00 |
料金 | 入場料:10元 共通券:25元 |
円明園(圆明园)へのアクセス
北京地下鉄4号線:円明園駅
円明園(圆明园)へのアクセスは、北京地下鉄4号線の円明園駅から徒歩でアクセスできます。頤和園のひとつ手前の駅で、頤和園の北東に位置します。
頤和園の近くということで、1日で両方に行こうという人もいるようですが、こちらもかなり広い敷地で歩き疲れしてしまいますので、頤和園とは別の日に観光することをおすすめします。