【世界遺産・故宮博物院 紫禁城】明王朝と清王朝の歴史を感じよう

北京観光で行きたい場所のひとつが、故宮博物院・紫禁城ではないでしょうか。少し古い映画ですがラストエンペラーを観て、いつかは訪れたいと思っていた人も多いかと思います。

ここではそんな故宮博物院・紫禁城を観光する前に知っておきたい歴史や、見るべきポイントについてご紹介します。

目次

故宮博物院・紫禁城の歴史

故宮は「古い宮殿」という意味で、現在は故宮博物院というのが名称になっていますが、かつては紫禁城と呼ばれる中国の中心となる場所でした。中国は「世界の中心」という意味ですので、故宮・紫禁城は世界の中心だったわけです。

ちょっと大げさに感じるかもしませんが、紫禁城の原型を作ったのが「元」で、歴史の授業で学んだかとは思いますが、元はヨーロッパにまで広がったモンゴル帝国の流れをくむ王朝ですので、紫禁城が歴史の中心にあったと言っても過言ではありません。

ただし、紫禁城が宮殿として本格的に機能し始めたのは、元を滅ぼした漢民族の王朝である明の時代からです。それが1421年ですので、日本でいえばちょうど室町時代が始まりの時代に当たります。

ラストエンペラーは清の時代ですが、明を滅ぼしたのは清ではなく、李自成という農民反乱指導者でした。そして李自成は順王朝を名乗りますが、これを滅ぼしたのが清で、順王朝は1年しか続かず中国の正史では国としては認められていません。

李自成は北京侵攻のときに紫禁城を焼き払っています。これが1644年で、江戸時代の始まりと重なります。李自成はその年のうちに清によって、紫禁城から追い出されることになります。そして、長い清王朝の都として発展が始まります。

ラストエンペラーが即位したのが1908年です。日本はすでに明治維新を経て、世界の列強に加えられる大国へとなっていましたが、清はまだ1644年から始まる長い歴史、いや明の時代から続く中華の歴史の中から抜け出せずにいました。

紫禁城が中国政府に明け渡されたのが1924年。なんと500年も紫禁城は中国の中心に存在し続けました。

故宮博物院・紫禁城の見どころ

故宮博物院・紫禁城は歴史が好きだという人からすると、1日あっても見て回ることができないほど敷地が広く、きちんと目的を持って観光しないと、ただ疲れただけということになります。

そこで、ここでは紫禁城で訪れておくべき場所をご紹介します。

  • 太和殿
  • 中和殿
  • 保和殿
  • 乾清宮
  • 儲秀宮(储秀宫)
  • 珍妃の井戸
  • 九龍壁
  • 御花園(御花园)

これくらいを抑えておいて、あとは気になる場所をチェックしておけばOKです。それぞれの場所について簡単にご紹介しておきます。

太和殿

紫禁城の中でも最も大きな建物で、中和殿、保和殿と合わせて外朝三殿と呼ばれています。皇帝の即位などに使われる場所でもあり、まさにかつて世界の中心だった場所が、この太和殿の玉座というわけです。

太和殿の玉座の真上には、軒轅鏡と呼ばれる鉄球が取付けられています。これは正当に皇位を継承したもの以外が玉座に座ると落ちてくるとされ、玉座に座れるということは正当な皇帝であることを示していることになります。

清王朝が滅んだ後、中華帝国皇帝として即位した袁世凱は、正当な手順を踏んで皇帝になったわけではないということで、軒轅鏡が落ちてくるのを恐れて玉座をずらして座っていたというのは有名なお話です。

中和殿

中和殿は太和殿と比べるとやや小ぶりな建物です。太和殿の裏側にあり、皇帝の休憩場所、控える場所として使われていました。というわけで、特に逸話があるわけではありませんが、乾清宮へと続くルート上にありますので、せっかくですから見ておきましょう。

保和殿

保和殿は皇帝や皇后が着替える場所で、科挙の試験会場としても使われていました。属国からの使者がやってきたときに酒宴が行われることもあり、格式が高い場所でありながら、様々な用途に使われていた建物のひとつです。

乾清宮

乾清宮はいわゆる皇帝の住居となる場所です。紫禁城の建物にはすべて漢字と見たことのない文字で建物の名前が書かれていますが、これは満州文字で清王朝が満州民族だったことの名残りです。

乾清宮に掲げられている「正大光明(右から読む)」の文字は第3代皇帝で順王朝を滅ぼした順治帝の文字ですが、北京で統治を始めたばかりは、漢字の読み書きができなかったため、あまり上手な文字ではありません。

ちなみにその正大光明が書かれている額の裏側に、次の皇帝になる人物の名前を書いた紙を箱に入れて保管していました。清王朝は長兄が継ぐのではなく、皇帝が優秀だと認めた者が継ぐことになり、名君が生まれやすいシステムが確立されていました。

儲秀宮(储秀宫)

儲秀宮と聞いてもピンとこないかもしれませんが、西太后の寝室といえば何となく伝わるかもしれません。西太后は悪女というイメージを持っている人も多く、散財した人として知られていますが、儲秀宮を見るとそのイメージが少し変わるかもしれません。

とても小さな部屋とお庭があり、寝床も小さくて可愛らしいという表現がぴったりきます。寝るためだけの場所とはいえ、決して広くなく心地の良いプライベートな空間がここにはあります。

珍妃の井戸

後ほど紹介しますが、小説「蒼穹の昴」シリーズで小説の題名にもなった「珍妃の井戸」は実際に紫禁城の中に残っています。珍妃の井戸を読んでいないと、ただの井戸でしかありませんが、1898年の義和団の乱が起きた際に、光緒帝の寵妃である珍妃が何者かによって落とされて死んでしまった井戸です。

その犯人探しをするのが小説「珍妃の井戸」です。ぜひ北京観光に行く前に読んでおいてもらいたい1冊です。

九龍壁

こちらも蒼穹の昴で重要な役割持つ場所のひとつですが、小説とは関係なくぜひ観てもらいたい場所でもあります。陶器で作られた3.5m×29.4mの巨大な壁に9体の龍が浮かび上がり、見る者を圧倒します。

別料金がかかるエリアですが、それほど高いわけではありません、紫禁城のメインとなる観光ポイントですので、ぜひ訪れておいてください。

御花園(御花园)

御花園は紫禁城内のお庭にあたる場所です。いくら広いとはいえ紫禁城という限られた世界の中で暮らす人にとって、数少ない自然を感じられる場所のひとつが御花園です。それだけに中国の庭園技術の粋が集結しています。

皇后や側室が、ゆっくりとした時間を過ごした御花園。歩き疲れたら、ここで休憩しながら、華やかだった時代のことを思い浮かべてみてましょう。

蒼穹の昴を読んでいくと楽しさが10倍

紫禁城をじっくりと楽しみたいなら、ぜひ浅田次郎さんの著書である蒼穹の昴シリーズを読んでおきましょう。紫禁城だけでなく、北京の街そのものの見え方が大きく変わります。

すべてを読むのは難しいと思いますので、まずは蒼穹の昴と珍妃の井戸まで読んでおくことをおすすめします。文庫本で売られていますので、読み返しながら北京観光をするというのもいいかもしれません。

北京を舞台に書かれた日本人作家の小説を、北京で中国茶を楽しみながら読む。とても贅沢な時間の使い方だと思います。

故宮博物院・紫禁城の基本情報

住所北京市东城区景山前街4号
開園時間4月〜10月:8:30-16:10
11月〜3月:8:30-15:40
()内は施設の開門時間です。
料金旺季:60元
淡季:40元

故宮博物院・紫禁城への行き方【アクセス】

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